BIM/CIM配筋モデル自動生成ツールに2次元図面と3次元配筋モデルの相互連動機能を実装

3次元モデルおよび図面作成の作業時間を90%削減

技術・ソリューション

大林組は、株式会社建設技術研究所、八千代エンジニヤリング株式会社、Terra Drone株式会社の4社共同で開発を進めている、設計条件や施工条件に基づいて設定したパラメータ(※1)の入力によりBIM/CIM配筋モデル(※2)を自動生成するツールに、2次元図面を同時に自動生成・修正する機能を実装しました。さらに対象構造物の拡大を実現し、2連ボックスカルバートとU型擁壁にも対応しました。本ツールは構造物の設計における3次元モデルと2次元図面の相互連動を実現し、生産性の向上および品質の確保に貢献します。

BIM/CIM配筋モデル自動生成ツールの処理フロー

土木事業では、3次元のBIM/CIMモデルの活用が進んでいますが、現状では発注者へ納品する2次元図面を作成した後に、BIM/CIMモデルを作成し、さらに2次元図面との整合を照査する必要があります。複雑な配筋モデルの構築には多大な時間を要することに加え、2次元図面とBIM/CIMモデル間の齟齬(そご)による手戻り作業が生じ、モデル作成作業の効率化、品質確保を困難にしている要因の一つとなっていました。

そのため、4社はBIM/CIM配筋モデルと2次元図面を同時生成する開発に着手しており、今般、その機能実装と対象構造物の拡大を実現しました。また、国土交通省は将来的に3次元モデルを契約図書とすることや、3次元モデルと2次元図面が互いに連動する場合は両者の整合確認を不要とする方針(※3)を示しており、本ツールはこの連動を配筋情報まで具現化したツールになります。

今回実装した本ツールの特長は以下のとおりです。

BIM/CIM配筋モデルと2次元配筋図の同時生成および連動

パラメータ入力によりBIM/CIM配筋モデルと2次元配筋図を同時に自動生成し、作成の手間と両者間の齟齬をなくすことで、設計品質を確保し、生産性を向上できます。また、BIM/CIM配筋モデルと2次元配筋図の両者を相互連動させることで、条件変更があった場合でも修正内容を相互に即時反映でき、設計・施工段階でのミスや手戻りを防止します。

操作画面イメージ(2連ボックスカルバートの場合)

鉄筋数量表、鉄筋加工図の自動生成

本ツールで生成したBIM/CIM配筋モデルから鉄筋数量表と鉄筋加工図を自動で出力することが可能となり、配筋図作成に必要な作業の大幅な削減が可能となりました。

2連ボックスカルバートとU型擁壁にも対応

本ツールはこれまで、単ボックスカルバートに対応してきましたが、新たに車線数が多い場合に用いられる2連ボックスカルバートとアンダーパスとのアプローチ部などで用いられるU型擁壁にも対応しました。対応できる躯体形状が増えたことで、ツールを活用できる機会がさらに拡大しました。

今回実装した機能によって、従来は約115時間かかっていた(延長約11mのウイング付き)ボックスカルバートのBIM/CIM配筋モデル、2次元配筋図、鉄筋数量表および鉄筋加工図の作成作業が、本ツールを使用すると約10時間で実施でき、作業時間の90%削減を実現できます。今後は、2次元配筋図の図面としての体裁を整える機能や、グラフィカルで分かりやすい入力システムの開発を進める予定です。

従来手法と本ツールとの比較(新規モデル・図面作成時の作業時間)

4社は、設計・施工段階のみならず、積算、維持管理に必要となる機能を実装することにより、各建設プロセスにわたって一元的に管理・連携するBIM/CIMの取り組みを推進します。また、顧客満足度のさらなる向上と建設業界の生産性の向上および品質の確保に寄与し、インフラ分野のDXを推進していきます。

大林組は、本ツールを活用して構造物の設計業務を効率化することで、安全・安心なインフラ整備に貢献していきます。